「グローバルに働くってどういうこと?」
世界で活躍したい夢を抱く学生のギモンにグローバルビジネス学科実務家教員
竹ノ内特任教授及び磯村准教授が
答えました!
まずは先生方の経歴と企業時代、色々な御経験をされている中で一番心に残っている業務や最大の失敗経験を簡単に教えて下さい。
(竹ノ内) 私は大学卒業後、客室乗務員としてANAに入社し、国内線・国際線の乗務を行っていました。管理職昇格後は現場の客室乗務員や訓練センターでのマネジメント業務や品質管理業務を行いました。その後、国際線の新サービスを立ち上げた際に、現場でのオペレーションが上手くいかないことがありました。その際に本社部門に異動し、国内線と国際線の機内サービスを企画し関連部署と調整するという業務を経験しました。その後、グループ会社で調達業務や企業研修、人材派遣業務に携わりました。また、ANAグループ外の経済団体で、観光に関わる業務にも関わりました。2022年4月よりANAから出向という形で本学に参りました。
これまでの業務で一番印象深いのは、サービスを企画する業務の中で、お客様のニーズと企業としてのポリシーや他社の競争力、現場のオペレーションやモチベーション等を総合的に勘案しないとそのサービスはお客様にとっても良いサービスとは言えないということを痛感したことでした。それに加えて、コストや安定的な調達の観点等、様々考慮することがある中で広い視野で物事を考えることの必要性を痛感しました。また、オペレーションに移す際の検証作業や、社内での調整、海外支店との連携等に奔走したことは貴重な経験だったと感じます。
また、航空会社にとって一番重要な「安全品質」を高めるために、機内の業務を見直したり、訓練内容を変更したりといった経験や、CAに訓練を行うインストラクターのマネジメントには大変苦労した思い出があります。(笑)インストラクターと管理職との信頼関係が不足している職場でしたので、それこそ泣き笑いの日々でした。そのころのインストラクターの大半が現在では管理職になっており、感慨深いものがあります。
(磯村) 私は大学で哲学を学び、その後、自動車部品メーカーのアイシン精機(現アイシン)に就職をしました。そこでは調達業務が長く、若いころは鋼材調達を担当していました。その時に一緒に仕事をした相手が、新日本製鐵(現日本製鉄)や三井物産など日本を代表する企業の営業担当者でやはり優秀な人が多い。そのような人を相手に経済やビジネスのことを良く知らない私では、なかなか話についていけない。残念ながら哲学だけでは厳しかった(笑)。そのため働きながら大学院で経済学と経営学を学び、最終的に博士号を取得しました。
その後、海外関係の業務も担当し、最終的にアメリカに約5年間駐在をしました。カナダ、メキシコも守備範囲で北米内を飛び回っていましたね。幸い仲間にも恵まれ、色々な仕事に挑戦することができ、充実した時間でした。北米各地の拠点に分散していた業務を集約することに取り組んだときは、様々な意見がある中、アメリカ中西部から西海岸、メキシコと飛び回って各地の拠点長や関係者の了解を取り付けました。車や飛行機で移動中、自分のアイディアを上手く説明できるか不安だったことをよく覚えています。
他にも社外の関係者100人に研究施設を見学していただくイベントを企画した際、移動用のバスが時間になってもやってこないというトラブルがありました。今となっては笑い話ですが、当時は真っ青になって関係者に謝罪をして回りました。トラブルの原因はチームメンバーがバス会社との契約を漏らしていたという単純ミスだったのですが、上司として最終確認を怠った私の責任であり、大きな反省点ですね。おかげで極度のパニック状態になると挽回策を考えようとしても脳が働かなくなるという新発見もありました(苦笑)。そして、たまたま縁があって2020年から本学でお世話になっています。
先生方の経歴をとても興味深く拝見させていただきました。ありがとうございました。
失敗も成功も経験され今のキャリアがあるのだなと感じました。ではここからは学生からの質問にお答えいただきます。よろしくお願いいたします。
学生F わたしは海外で働きたいという気持ちがある一方で、海外で働くことができる職種、業務内容、働き方などを分かってないので教えて欲しいです。
(磯村) 海外で働く場合、2つのルートがあると思います。一つは自分で労働ビザを取得して、現地で採用されるルート。もう一つが僕のように企業から派遣されて、駐在員として働くルートだね。後者の場合、現地と日本の架け橋としての役割が重要になってくる。日本からの方針に基づき、ローカルスタッフと話し合って現地に反映させていく。職種に関しては、日本の方針および現地の状況にもよるけれども、色々な部署から赴任する可能性があると思う。そして駐在員数は少ない場合が多いので、現地では幅広い業務に取り組むことが求められます。
学生F そうなんですね、やはり日本の企業に入って海外に派遣される方が働きやすいですか?
(磯村) 企業から派遣されて海外で働く場合、赴任手当などがもらえて金銭的に嬉しい部分はあるよね(笑)。でも駐在員の場合、赴任期間が終わると帰国することになる。僕は北米で働くことが楽しかったので、帰国は残念だった。他方、現地で採用された人はそうした制約がなく、好きな国で好きなだけ働けるよね。
(竹ノ内) エアラインの場合、どちらかというと国と国の仕事だったり、海外の要人との仕事だったり、例えば社長が現地に来るということになれば、会社の代表として社長と同席したり等、なかなか日本ではできないような経験が積めると思います。また、派遣先国の情勢変化にも対応する必要があります。派遣される国によって全然状況が違ったりする。特に、今回のように何か紛争や感染症等が発生すると日本にいるよりも大変な思いはされているのだろうと思います。
学生I 外国語大学ということもあって、英語はしっかり勉強していますが、TOEICの点数は正直入社するための基準でしかないですか?TOEICの点数を実際の仕事の中でどう活かすことができるか知りたいです。
(竹ノ内) ANAではTOEICの点数を、ポジションにつける資格として使うことがあります。客室乗務員にもサービスのクラスや責任者のポジションに昇格するために、一定程度の点数が必要で皆一生懸命にTOEICに取り組んでいます。TOEICは、一つの指標として使ってる企業は多いかな。磯村先生どうですか。
(磯村) 確かに昇格試験を受けるためにTOEICの点数を条件としている企業は多いですね。他には海外赴任のチャンスと関係してくると思います。ただし勘違いしてほしくないことは、まずはしっかりと仕事に取り組むことが重要。その上でさらにTOEICの点数が高ければ海外に派遣されやすくなる。TOEICは日本企業で標準のものさしになっているのでPRしやすい。さらに自分の自信になることは間違いないよね。
学生S わたしは起業したいという夢があるのですがどうやって進んでいけばいいのか分かりません。
(磯村) 僕の専門ゼミではチームを結成してビジネスプランコンテストに挑戦している。その過程において本学科で学んだ経営戦略やマーケティング、会計などを幅広く実践することが求められ、コンテストによってはコンサルタントなど専門家が起業に向けたサポートしてくれる場合もある。こうしたことを通して人脈を構築することが可能であり、起業に向けた一つのルートだと思う。もちろんコンテストに向けた活動は大変であり、上手くいかないこともある。僕は時々、ゼミ生に厳しいコメントをしており、結構、落ち込むらしい(笑)。それでも仲間と一緒に乗り越えることで学生は大きく成長していく。起業だけではなく、社会人としても役立つ経験だと思っています。
(竹ノ内) 現在は日本でも、企業内ベンチャー起業をやっている企業も多くなりました。イノベーションを生み出したり、実現させるためには、人脈を広げてそれをきっかけに起業する人達は多いですよね。企業で働く中でも人脈が大事だなと改めて感じます。
学生K ズバリ先生方が今の大学生に求めるものってなんですか。
(竹ノ内) 皆さんは今、本当に貴重な時期を過ごしていると思います。一生で多分、こんなに「(若い時代に)自分の思い通りになる時間」はありませんし、この時間を大事にして欲しいと感じます。何でもいいから一生懸命になれるものを見つけて努力してやり切って欲しいです。「チャンスは準備をしている人のところにしか来ない」という言葉がありますが、大学生活でやり切った経験は社会人になってから何らかのチャンスとしてやってくると思います。
(磯村) Proactiveであること。自分で動いて取り組む。与えられたこと、起きたことに反応するReactiveではなく。どんなことでもよいので、自分自身で考えて一歩を踏み出す勇気があれば、社会人になってもその姿勢は評価されるはずです。
先生方、学生のみなさんありがとうございました。では最後にグローバルビジネス学科に興味のある高校生に対しメッセージをお願いします。
(竹ノ内) グローバルビジネス学科では、英語+学生時代からビジネスの世界に触れることが出来ると思います。世界的に移り変わりの激しい現代社会の中で、早いうちからビジネスの世界に触れ、活躍できるための「力」を育んでいきましょう。
(磯村) コロナ禍という危機が社会を襲いましたが、グローバル化という大きな流れに変化はないでしょう。本学科で学ぶ「英語×ビジネス」の羅針盤はきっと皆さんの将来に役立つはずです。Think globally, Act globally.
※この対談記事の写真は本学学生が撮影しました。ご協力ありがとうございました!